底地相続の鑑定実例

借地権がらみの不動産の価格評価は実に複雑で、かつかなり高度な専門性を要します。
ここでは、弊社が担当させていただきました評価実例一部をご紹介致します。

ご相談内容

戦前から借地している土地を父が所有している。
借地人から借地権を買い取ってほしい旨の打診があった。
父が高齢で資金もなく借地権の買取ができないため、息子が借地権を買い取る形で交渉したい
鑑定評価書をとることで相続税の計算上、更地ではなく「底地」扱いで評価したい。

評価概要

物件の所在 東京都台東区
用途地域 第1種住居地域
道  路 6m区道
地  積 400㎡
有効地積 390㎡ (現地調査よりセットバック約10㎡)
想定分譲戸数 4区画
区画あたり 98㎡
月額地代 15,000円/区画
地代総額 15,000円 × 4区画 = 60,000円
路線価 255,000円/㎡
路線価評価 255,000円/㎡ × 390㎡ × (借地権割合)70% ≒ 69,600,000円

借地権の鑑定評価

A.取引事例に基づく比準価格
 周辺地域において規範性の高い借地権の取引事例を収集することができた。 38,000,000円
B.土地残余法による収益価格
 対象地にアパートを建築することを想定して、建築プランに基づき収益価格を試算した。 30,000,000円
C.賃料差額のうち取引の対象となっている部分を還元した価格
 地域の適正地代と現行地代との賃料の差額を分析し、当該地域の実情に合わせて査定した。 25,000,000円
D.借地権割合により求めた価格
 相続税路線価によると借地権割合は70%となっているが、実際の売買事例や土地賃貸借契約書の内容等の個別性を反映して、対象の借地権割合を50%と判定した。 35,000,000円

鑑定結果、
上記のうち最も規範性が高いA.B.Dを重視して、Cを参考に留めて下記の通り、鑑定評価額を決定した。
 (鑑定結果) 34,000,000円

鑑定評価のポイント

鑑定評価書をとっておくことで、親族間ではない第三者への適正売買価格であること、客観的な価格で取引されたことを証明することができた。
これにより、相続税計算時は底地として更地価格の30%で評価されるので、更地評価と比べて1,500万円の節税効果が得られた。